白髪治療研究所とは
APスキンクリニック銀座に設置された、白髪治療の研究部門です。取り組んでいる3つのテーマと、研究と診療の関係について記載します。
白髪治療研究所について
白髪治療研究所は、APスキンクリニック銀座に設置された、白髪の治療に関する研究部門です。
設置の背景には、白髪という領域の特殊な事情があります。白髪は、多くの人が経験する現象でありながら、治療の対象として扱われてきた歴史が短く、研究の蓄積も限られています。染めるという対処法が確立しているため、医学的な介入の対象と見なされてこなかった経緯があります。
その結果、次のような状況が生じています。原因については一定の理解があるものの、介入によって何がどこまで変わるのかについては、まとまった知見がほとんどありません。
当研究所は、診療を通じて得られる観察を体系的に記録し、それを治療の設計に反映させることを目的としています。現在、数百名規模の症例について継続的な記録を行っています。
提携ラボとの共同体制
当研究所の活動は、当院が単独で行っているものではありません。
成分および処方の検討については、外部の提携ラボと継続的に共同で進めています。 臨床での観察と症例の記録を当院が担い、成分の選定、処方の設計、その検証を提携先と分担する体制です。
臨床の現場だけでは、成分レベルの検討に踏み込むことができません。逆に、研究室だけでは、実際の患者にどう反応が出るかを追うことができません。この二つを往復させることが、白髪という領域では特に重要だと考えています。
3つの研究テーマ
1|色素幹細胞の可逆性
2023年、ニューヨーク大学の研究チームは、白髪化した毛包において色素幹細胞が消失しているのではなく、毛包内を移動できない状態で残存している例があることを報告しました。細胞が残っているのであれば、再び機能させる余地があることになります。
ただしこれはマウスを対象とした研究であり、ヒトにおいて同様の機序が働くかどうかは確認されていません。また、ヒトの白髪においても、幹細胞が残存している場合と失われている場合の両方があると考えられます。
当研究所では、白髪になってからの経過年数と、治療への反応性との関係を臨床例で記録しています。どの状態の毛包が反応し、どの状態の毛包が反応しないのか。 これを臨床データとして把握することが、治療の適応を判断する精度に直結します。
2|作用点の異なるペプチドの比較検討
色素に関わるペプチドは一種類ではありません。作用する段階が異なるものが複数知られています。
- メラニンの産生を起動する段階に作用するもの
- 産生された色素を、メラノサイトから毛髪の細胞へ受け渡す段階に作用するもの
- 細胞を酸化から保護する段階に作用するもの
色素が毛髪に反映されるまでには複数の段階があり、どの段階が律速となっているかは個人によって異なると考えられます。したがって、単一の成分ですべての例に対応できるとは考えていません。
当研究所では、これらのペプチドについて、単一成分への依存を避ける形で比較検討を継続しています。院内での治療と自宅でのケアのそれぞれについて、提携ラボと共同で構成の検証を進めています。
3|日本人の白髪疫学データの収集
3つ目は、当研究所が最も重視しているテーマです。
現代の日本人における年代別の白髪率について、まとまったデータは事実上存在しません。
白髪の疫学に関する代表的な研究としては、2012年に発表された国際的な調査があります。約4,200名を対象としたもので、45歳から65歳の74%に白髪が見られ、白髪の割合は平均27%であったと報告されています。またアジア系は白人系より白髪が少ない傾向も示されました。
しかしこの調査は、日本人を対象としたものではありません。また十年以上前の調査であり、その間に生活習慣も平均寿命も変化しています。
つまり、患者が「自分の白髪は同年代と比べて多いのか」と問うたとき、それに答えるための日本のデータが存在しない状態です。
当研究所では、診療での記録と、セルフチェックを通じた収集によって、このデータの蓄積を進めています。年代、性別、白髪の量、進行の自覚、生活背景。これらを構造化して記録することで、日本人における白髪の実態を把握することを目指しています。
このデータは、治療の判断材料としてだけでなく、患者が自身の状態を客観的に理解するための基準としても機能します。
研究と診療の関係
当研究所の活動は、診療から独立したものではありません。
診療の場で観察された内容が研究の起点となり、検討の結果が治療の設計に反映されます。たとえば「白髪になってからの年数が反応性に関係する」という観察は診療から生まれ、その裏づけを研究報告に求め、結果としてカウンセリングでの説明と治療の適応判断に反映されています。
研究のための研究ではなく、目の前の患者に対する判断の精度を上げるための記録である、というのが当研究所の位置づけです。検討の結果は、当院の白髪治療の設計に反映されています。
統括者
高瀬|白髪治療研究所 統括
化粧品・医薬品成分の研究に従事し、白髪対策ペプチドを主な研究対象としています。自身も5年にわたって同治療を継続しています。
Instagram(@shiraga_lab_takase)で、白髪に関する研究知見を発信しています。
記載についての方針
本ページおよび当研究所が公開する記事では、次の方針を取っています。
- 査読を経た研究報告と、当院での観察とを区別して記述する
- 断定できない事項は、断定できないものとして記述する
- 治療効果に関する数値は公開しない
- 使用する成分の配合、濃度、製品名は公開しない
最後の2点について補足します。効果の数値を公開しない理由は、症例数と観察条件が統計的な主張に足る水準に達していないためです。配合を公開しない理由は、現在も検証の途上にあり、確定した内容として示せる段階にないためです。
APスキンクリニック銀座の白髪治療について、内容・料金・施術の流れを施術ページに記載しています。
カウンセリングでは、白髪歴や進行の状態をふまえて個別にご説明します。
参考文献
- Sun Q, Lee W, Hirose H, et al. Dedifferentiation maintains melanocyte stem cells in a dynamic niche. Nature. 2023;616(7958):774-782. doi:10.1038/s41586-023-05960-6
- Panhard S, Lozano I, Loussouarn G. Greying of the human hair: a worldwide survey, revisiting the ‘50’ rule of thumb. Br J Dermatol. 2012;167(4):865-873.
本ページの記載について
本ページは白髪という現象についての解説を目的としたものであり、特定の治療を推奨するものではありません。治療の適応や経過は個人により異なります。
当院の白髪治療は自由診療であり、健康保険の適用対象ではありません。使用する成分の一部には、国内において医薬品としての承認を受けていないものが含まれます。国内の正規取扱事業者を通じて入手しています。白髪の改善を目的として国内で薬事承認を受けた医薬品はありません。使用する成分について、重大な副作用等の報告は確認されていません。未承認の医薬品等を使用した場合に生じた健康被害は、医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度の対象外となります。
主なリスク・副作用:施術部位の一時的な赤み、腫れ、内出血、痛み、かゆみ等が生じることがあります。
費用および施術内容の詳細は白髪・育毛治療のページをご覧ください。



