白髪治療研究所

白髪を増やさないために

睡眠、食事、ストレス、紫外線。白髪の予防に関わる生活習慣は、いずれもメラノサイトが受ける酸化ストレスに作用しています。

酸化ストレスが白髪につながる経路メラニンを産生する副産物として過酸化水素が発生カタラーゼが分解する加齢・生活習慣で分解が追いつかないメラノサイトが損傷を受ける睡眠・栄養・ストレス・紫外線は、いずれもこの経路に作用する
図1|酸化ストレスが白髪につながる経路
メラニンの生成に関わる栄養素チロシンメラニンの原料チーズ・大豆製品・たらこチロシナーゼの働きを助けメラニンへ変換するレバー・牡蠣・カシューナッツメラニン毛髪に付与される色素支える栄養素ビタミンB12メラノサイトの機能あさり・しじみ・いわし亜鉛ケラチンの合成牡蠣・赤身肉・ナッツビタミンC・E活性酸素から細胞を守る緑黄色野菜・果物不足すると色素が作れなくなる。足りている場合、追加の摂取に意味はない
図2|メラニンの生成に関わる栄養素

対策の方向性

白髪を増やさないための方法として挙げられるのは、睡眠、食事、ストレスの管理です。いずれも特別な方法ではありませんが、これらが共通して作用する対象があります。メラノサイトが受ける酸化ストレスです。

酸化ストレスとメラノサイト

毛髪に色素を付与するのは、毛根に存在するメラノサイトです。この細胞がメラニンを産生し、毛髪に受け渡すことで有色の毛髪となります。

メラノサイトは酸化ストレスの影響を受けやすい細胞です。メラニンの産生過程では副産物として過酸化水素が発生し、通常は体内のカタラーゼという酵素によって分解されます。しかし加齢や生活習慣の乱れによってこの処理能力が低下すると、過酸化水素が蓄積し、メラノサイト自体を損傷します。

色素を産生する細胞が、産生の過程で自身を損傷する構造が、白髪の背景にあります。

睡眠不足、栄養の不足、ストレスは、いずれも酸化ストレスを増加させる方向に作用します。生活習慣が関与するのは、この経路によります。

睡眠

睡眠不足は、体内の抗酸化能力を低下させます。細胞の修復は主に睡眠中に行われるため、この時間が不足すると、日中に蓄積した損傷が処理されないまま経過することになります。

必要な睡眠時間には個人差がありますが、慢性的な睡眠不足の自覚がある場合は、優先して見直す対象となります。

なお、白髪の増加を自覚した時期と生活状況の変化が一致する例は少なくありません。

食事

特定の食品の摂取により白髪が改善するという根拠はありません。一方、不足すると色素が産生できなくなる栄養素は存在します。充足していれば追加の摂取に意味はなく、不足している場合に補うことで改善する可能性がある、という性質のものです。

メラニンの生成に関わる主な栄養素は次の通りです。

チロシン メラニンの原料となるアミノ酸です。チーズ、大豆製品、たらこなどに含まれます。

チロシンをメラニンに変換する酵素(チロシナーゼ)の働きを補助します。レバー、牡蠣、カシューナッツ、大豆製品などに含まれます。

ビタミンB12 メラノサイトの機能に関わるとされます。あさり、しじみ、レバー、いわしなどに含まれます。

亜鉛 毛髪の主成分であるケラチンの合成に必要です。牡蠣、赤身肉、ナッツ類に含まれます。

抗酸化に関わる栄養素 ビタミンC、ビタミンEなどは、活性酸素からメラノサイトを保護する働きがあります。緑黄色野菜、果物、ナッツ類に含まれます。

極端な食事制限を行っている場合や、偏った食生活が続いている場合には、これらが不足している可能性があります。

なお、サプリメントによる補充においても、過剰摂取により効果が高まるものではありません。特にミネラル類は過剰摂取が別の問題を生じることがあるため、用量の遵守が必要です。

ストレス

強いストレスと白髪の関連については、2020年にハーバード大学の研究チームがNature誌に機序を報告しています。

強いストレスにより交感神経が過剰に活性化するとノルアドレナリンが放出され、色素幹細胞が急速に増殖・分化したのち毛包から失われます。この研究では、失われた幹細胞が回復しないことも示されました。ストレスによる白髪化は、他の要因と比較して不可逆性が高いことになります。

ストレスを完全に排除することは現実的ではありませんが、次の点は確認する余地があります。

  • 強いストレス状態が長期間継続していないか
  • 回復にあてる時間が確保されているか
  • 睡眠が削られていないか

ストレスそのものより、回復の機会がないまま継続することが問題となります。

紫外線

頭皮も紫外線の影響を受けます。顔面には日焼け止めを使用していても、頭皮への対策を行っている例は多くありません。分け目の部分は顔面より直接的に紫外線を受けています。

紫外線は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。帽子、日傘、頭皮用のUVスプレーなど、方法は問いません。

頭皮の血行と毛包の状態

栄養素を摂取しても、毛根に到達しなければ作用しません。

また、色素を産生する細胞は毛包という組織の内部で機能しているため、組織自体が萎縮していれば細胞の働きも低下します。毛髪が細くなる、コシが失われる、分け目が広がるといった変化は、白髪とは別の問題として捉えられることが多いものの、同一の部位で生じています。白髪対策と毛髪の土台の維持は、切り離せない関係にあります。

頭皮のマッサージは血行を促す方法のひとつです。シャンプー時に指の腹で頭皮を動かす程度で足り、爪を立てて強くこすることは逆効果となります。ただし、マッサージのみで白髪が改善するものではなく、栄養と睡眠が充足していることを前提とした補助的な位置づけです。

白髪を抜くことについて

白髪を抜いても、白髪の量は減少しません。同一の毛穴からは再び色素の付与されない毛髪が生成されます。色素を付与する細胞が機能していないためです。

また、繰り返し抜くことで毛根が損傷し、次の毛髪が生成されにくくなることがあります。気になる場合は根元で切ることが適切です。

生活習慣による対策の限界

ここまでに挙げた内容をすべて実行した場合でも、白髪の進行を完全に抑制できるとは限りません。特に遺伝的要因により若年で白髪が出現している場合、および進行が急速に加速している場合には、生活習慣の改善のみでは対応が困難なことがあります。

その場合には医療的なアプローチという選択肢があります。当院の白髪治療では、メラノサイトに作用する複数のペプチドに加え、毛包の環境に働きかける成分を併用しています。生活習慣が悪化を防ぐものであるのに対し、こちらは積極的に働きかけるものという違いがあります。

ただし治療を行う場合でも、ここに記載した生活習慣は前提として必要です。治療は生活習慣の代替にはなりません。

まとめ

  • 白髪の予防に関わる生活習慣は、いずれもメラノサイトの酸化ストレスに作用する
  • 睡眠不足は抗酸化能力を低下させる
  • 特定の食品による改善の根拠はないが、不足すると色素が産生できない栄養素は存在する
  • チロシン、銅、ビタミンB12、亜鉛、抗酸化ビタミンが関連する
  • ストレスによる幹細胞の枯渇は回復しないことが報告されている
  • 紫外線対策は頭皮にも必要である
  • 白髪対策と毛髪の土台の維持は切り離せない
  • 白髪は抜かず、根元で切る
  • 生活習慣による対策には限界があり、進行が急速な場合には医療的な選択肢がある

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参考文献

  1. Zhang B, Ma S, Rachmin I, et al. Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells. Nature. 2020;577(7792):676-681. doi:10.1038/s41586-020-1935-3
  2. 公益社団法人日本毛髪科学協会「髪の寿命(ヘアサイクル)」

本ページの記載について

本ページは白髪という現象についての解説を目的としたものであり、特定の治療を推奨するものではありません。治療の適応や経過は個人により異なります。

当院の白髪治療は自由診療であり、健康保険の適用対象ではありません。使用する成分の一部には、国内において医薬品としての承認を受けていないものが含まれます。国内の正規取扱事業者を通じて入手しています。白髪の改善を目的として国内で薬事承認を受けた医薬品はありません。使用する成分について、重大な副作用等の報告は確認されていません。未承認の医薬品等を使用した場合に生じた健康被害は、医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度の対象外となります。

主なリスク・副作用:施術部位の一時的な赤み、腫れ、内出血、痛み、かゆみ等が生じることがあります。

費用および施術内容の詳細は白髪・育毛治療のページをご覧ください。